厚生労働省「みんなのメンタルヘルス総合サイト」では、PTSDには以下のような症状があるとしています。
(以下、同サイトからの抜粋です)

【1】突然、つらい記憶がよみがえる

事件や事故のことなどすっかり忘れたつもりでいても、ふとした時に、つらい体験の時に味わった感情がよみがえります。
それは恐怖だけでなく、苦痛、怒り、哀しみ、無力感などいろいろな感情が混じった記憶です。周りからみると、何もないのに突然感情が不安定になり、取り乱したり涙ぐんだり怒ったりするので、理解に苦しむことになります。
その事件や事故を、もう一度体験しているように生々しく思い出されることもあります。また、同じ悪夢を繰り返し見ることもPTSDによくある症状です。

【2】常に神経が張りつめている

つらい記憶がよみがえっていない時でも緊張が続き、常にイライラしている、ささいなことで驚きやすい、警戒心が行き過ぎなほど強くなる、ぐっすり眠れない、などの過敏な状態が続くようになります。

【3】記憶を呼び起こす状況や場面を避ける

何気ない日常の中につらい記憶を思い出すきっかけがたくさん潜んでいます。多くのPTSD患者さんは何度も記憶を呼び起こすうちに、そうしたきっかけを避けるようになります。
どんなことがきっかけになるかは本人でなくてはわからず、本人も意識できないままでいることもあります。
意識できない場合でも、自分で気づかないうちにそうした状況をさけるようになるのです。
その結果、行動が制限されて通常の日常生活・社会生活が送れなくなることも少なくありません。

【4】感覚が麻痺する

つらい記憶に苦しむことを避けるために、感情や感覚が麻痺することもあります。そのために家族や友人に対してこれまで持っていたような愛情や優しさなどを感じられなくなったり、人にこころを許すこともできなくなりがちです。
これは、つらい経験の記憶からこころを守るための自然の反応なのです。

【5】いつまでも症状が続く

こうした症状は、つらく怖い経験の直後であればほとんどの人にあらわれるものです。ですので、事件や事故から1ヶ月くらいの間は様子をみて、自然の回復を待ってみます。
数ヶ月たっても同じような症状が続いたり、悪化する傾向がみられたら、PTSDの可能性を考えてみてください。

また、そのほかにも、このような症状もあることが知られています。

多くの場合、一般の(神経内科、消化器科などの)病院で診察を受けても原因が分からないといわれたり、過労やストレスが原因という診断で、根本的な治療が出来ずに症状が繰り返したりすることが多いようです。
(※事前に、医師から身体疾患・外傷が原因ではないと明確に診断されていることが重要です)

  • 意味もなくドキドキして夜なかなか眠れない
  • 薬を飲んでも繰り返す頭痛や腹痛
  • 特定の方向を見るのが苦手だ(頭が痛くなったり、目が痛くなったりする)
  • 手や足が自分のものでないような感じがする、自由に動かしにくいと感じることがある
  • 手や足の感覚が感じられない(感じられない、ということに気がつかない場合もあります)
  • 特定の場所や状況になると、動悸やめまいがする(パニック障害の場合もあります)

トラウマ反応は時として、「色々な診療科にかかったけれど、理由が分からない」「自分でも全く心当たりがない」「なぜこのような症状が出るのか説明がつかない」などと言った形の身体症状として現れることがあります。

【参考】DSM-VにおけるPTSDの定義

アメリカ精神医学会の診断・統計マニュアル第4版(DSM-V)におけるPTSDの定義は以下の通りです。
注:以下の基準は成人、青年、6歳を越える子どもについて適用する。6歳以下の子どもについては後述の基準を参照すること。

  1. 実際にまたは危うく死ぬ、重傷を負う、性的暴力を受ける出来事への、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の形による曝露:

    1. 心的外傷的出来事を直接体験する
    2. 他人に起こった出来事を直に目撃する
    3. 近親者または親しい友人に起こった心的外傷的出来事を耳にする。家族または友人が実際に死んだ出来事または危うく死にそうになった出来事の場合、それは暴力的なものまたは偶発的なものでなくてはならない。
    4. 心的外傷的出来事の強い不快感を抱く細部に、繰り返しまたは極端に曝露される体験をする。
      注:基準A4は、仕事に関連するものでない限り、電子媒体、テレビ、映像、または写真による曝露には適用されない。
  2. 心的外傷的出来事の後に始まる、その心的外傷的出来事に関連した、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の侵入症状の存在

    1. 心的外傷的出来事の反復的、不随意的、および侵入的で苦痛な記憶
      注:6歳を越える子どもの場合、心的外傷的出来事の主題または側面が表現された遊びを繰り返すことがある。
    2. 夢の内容と情動またはそのいずれかが心的外傷的出来事に関連している。反復的で苦痛な夢。
      注:子どもの場合、内容のはっきりしない恐ろしい夢のことがある。
    3. 心的外傷的出来事が再び起こっているように感じる、またはそのように行動する解離症状(例:フラッシュバック)(このような反応は1つの連続体として生じ、非常に極端な場合は現実の状況への認識を完全に喪失するという形で現れる。)
    4. 心的外傷的出来事の側面を象徴するまたはそれに類似する、内的または外的なきっかけに曝露された際の強烈なまたは遷延する心理的苦痛
    5. 心的外傷的出来事の側面を象徴するまたはそれに類似する、内的または外的なきっかけに対する顕著な生理学的反応
  3. 心的外傷的出来事に関連する刺激の持続的回避。心的外傷的出来事の後に始まり、以下のいずれか1つまたは両方で示される。

    1. 心的外傷的出来事についての、または密接に関連する苦痛な記憶、思考、または感情の回避、または回避しようとする努力
    2. 心的外傷的出来事についての、または密接に関連する苦痛な記憶、思考、または感情を呼び起こすことに結びつくもの(人、場所、会話、行動、物、状況)の回避、または回避しようとする努力
  4. 心的外傷的出来事に関連した認知と気分の陰性の変化。心的外傷的出来事の後に発現または悪化し、以下のいずれか2つ(またはそれ以上)で示される。

    1. 心的外傷的出来事の重要な側面の想起不能(通常は解離性健忘によるものであり、頭部外傷やアルコール、または薬物など他の要因によるものではない)
    2. 自分自身や他者、世界に対する持続的で過剰に否定的な信念や予想(例:「私が悪い」「誰も信用できない」「世界は徹底的に危険だ」「私の全神経系は永久に破壊された」)
    3. 自分自身や他者への非難につながる、心的外傷的出来事の原因や結果についての持続的で歪んだ認識
    4. 持続的な陰性の感情状態(恐怖、戦慄、怒り、罪悪感、または恥)
    5. 重要な活動への関心または参加の著しい減退
    6. 他者から孤立している、または疎遠になっている感覚
    7. 陽性の情動を体験することが持続的にできないこと(例:幸福や満足、愛情を感じることができないこと)
  5. 心的外傷的出来事と関連した、覚醒度と反応性の著しい変化。心的外傷的出来事の後に発現また悪化し、以下のいずれか2つ(またはそれ以上)で示される。

    1. 人や物に対する言語的または肉体的な攻撃性で通常示される。(ほとんど挑発なしでの)いらだたしさと激しい怒り
    2. 無謀なまたは自己破壊的な行動
    3. 過度の警戒心
    4. 過剰な驚愕反応
    5. 集中困難
    6. 睡眠障害(例:入眠や睡眠維持の困難、または浅い眠り)
  6. 障害(基準B、C、D、およびE)の持続が1か月以上
  7. その障害は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起している。
  8. その障害は、物質(例:医薬品またはアルコール)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない

▶いずれかを特定せよ

解離症状を伴う:症状が心的外傷後ストレス障害の基準を満たし、加えてストレス因への反応として、次のいずれかの症状を持続的または反復的に体験する。

  1. 離人感:自分の精神機能や身体から遊離し、あたかも外部の傍観者であるかのように感じる持続的または反復的な体験(例:夢の中にいるような感じ、自己または身体の非現実感や、時間が進むのが遅い感覚)
  2. 現実感消失:周囲の非現実感の持続的または反復的な体験(例:まわりの世界が非現実的で、夢のようで、ぼんやりし、またはゆがんでいるように体験される)

    注:この下位分類を用いるには、解離症状が物質(例:アルコール中毒中の意識消失、行動)または他の医学的疾患(例:複雑部分発作)の生理学的作用によるものであってはならない

▶該当すれば特定せよ

遷延顕症型:その出来事から少なくとも6か月間(いくつかの症状の発症や発現が即時であったとしても)診断基準を完全には満たしていない場合
6歳以下の子どもの心的外傷後ストレス障害

  1. 6歳以下の子どもにおける、実際にまたは危うく死ぬ、重症を負う、性的暴力を受ける出来事への、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の形による曝露:

    1. 心的外傷的体験を直接体験する
    2. 他人、特に主な養育者に起こった出来事を直に目撃する
    3. 親または養育者に起こった心的外傷的出来事を耳にする
  2. 心的外傷的出来事の後に始まる、その心的外傷的出来事に関連した、以下のいずれか1つ(またはそれ以上)の侵入症状の存在:

    1. 心的外傷的出来事の反復的、不随意的、および侵入的な苦痛な記憶
      注:自動的で親友的な記憶は必ずしも苦痛として現れるわけではなく、再演する遊びとして表現されることがある。
    2. 夢の内容と情動またはそのいずれかが心的外傷的出来事に関連している、反復的で苦痛な夢
      注:恐ろしい内容が心的外傷的出来事に関連していることを確認できないことがある。
    3. 心的外傷的出来事が再び起こっているように感じる、またはそのように行動する解離症状(例:フラッシュバック)(このような反応は1つの連続体として生じ、非常に極端な場合は現実の状況への認識を完全に喪失するという形で現れる)。このような心的外傷に特異的な再演が遊びの中で起こることがある。
    4. 心的外傷的出来事の側面を象徴するまたはそれに類似する、内的または外的なきっかけに曝露された際の強烈なまたは遷延する心理的苦痛
    5. 心的外傷的出来事を想起させるものへの顕著な生理学的反応
  3. 心的外傷的出来事に関連する刺激の持続的回避、または心的外傷的出来事に関連した認知と気分の陰性の変化で示される、以下の症状のいずれか1つ(またはそれ以上)が存在する必要があり、それは心的外傷的出来事の後に発現または悪化している。

      刺激の持続的回避

    1. 心的外傷的出来事の記憶を喚起する行為、場所、身体的に思い出させるものの回避、または回避しようとする努力
    2. 心的外傷的出来事の記憶を喚起する人や会話、対人関係の回避、または回避しようとする努力
    3. 認知の陰性変化

    4. 陰性の情動状態(例:恐怖、罪悪感、悲しみ、恥、混乱)の大幅な増加
    5. 遊びの抑制を含め、重要な活動への関心または参加の著しい減退
    6. 社会的な引きこもり行動
    7. 陽性の情動を表出することの持続的現象
  4. 心的外傷的出来事と関連した覚醒度と反応性の著しい変化。心的外傷的出来事の後に発現または悪化sしており、以下のうち2つ(またはそれ以上)によって示される。

    1. 人や物に対する(極端なかんしゃくを含む)言語的または肉体的攻撃性で通常示される。(ほとんど挑発なしでの)いらだたしさと激しい怒り
    2. 過度の警戒心
    3. 過度な驚愕反応
    4. 集中困難
    5. 睡眠障害(例:入眠や睡眠維持の困難、または浅い眠り)
  5. 障害の持続が1か月以上
  6. その障害は、臨床的に意味のある苦痛、または両親や同胞、仲間、他の養育者との関係や学校活動における機能の障害を引き起している。
  7. その障害は、物質(例:医薬品またはアルコール)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない

▶いずれかを特定せよ

解離症状を伴う:症状が心的外傷後ストレス障害の基準を満たし、次のいずれかの症状を持続的または反復的に体験する。

  1. 離人感:自分の精神機能や身体から遊離し、あたかも外部の傍観者であるかのように感じる持続的または反復的な体験(例:夢の中にいるような感じ、自己または身体の非現実感や、時間が進むのが遅い感覚)
  2. 現実感消失:周囲の非現実感の持続的または反復的な体験(例:まわりの世界が非現実的で、夢のようで、ぼんやりし、またはゆがんでいるように体験される)
    注:この下位分類を用いるには、解離症状が物質(例:意識消失)または他の医学的疾患(例:複雑部分発作)の生理学的作用によるものであってはならない

▶該当すれば特定せよ

遷延顕症型:その出来事から少なくとも6か月間(いくつかの症状の発症や発現が即時であったとしても)診断基準を完全には満たしていない場合